容疑者X抗体の献身
ナノモンシリーズ 第四章
【解決編】








「い、一体どうしたんですか?急に……」

ナノモンに呼び出された女の子達は混乱していた。
警察の事情聴取がこれから控えているというのに、また呼び出されたとあっては、混乱するのも仕方ないような気がする。

「君達に集まってもらったのは他でもない。この殺人事件を犯したと思われる者のアリバイが崩れたからだ」
「えぇっ!?」
「ほ、本当ですか!?」
「あぁ、その通りだ」

ナノモンは喋りながら、カチカチとこめかみの辺りにあるツマミを弄っていた。
普通の人間ならただの手遊びに見える……けど、あの機能は確か……。
何だか嫌な予感がする。

「私としては残念だが、犯人は君達でじもんクローバー48のメンバーだ」
「嘘よ!」
「そんなはずは無いわ!」

女の子たちが口々に叫ぶ。

「チームデジデジの皆がアキホを殺すなんて、考えられないわ!」
「私はチームデジデジの者が犯人とは一言も言ってないぞ、サヨ」

サヨちゃんに対して、ナノモンが不敵な笑みを浮かべた。

「チームモンモンのニンゲンが殺害を犯すことも可能なはずだ」
「あり得ないわ!犯行時刻に私達は全員ライブをしていて……」
「あぁ、もし本当にチームモンモンのニンゲンがやっていたのならな」

一人の女の子がビクッと体を揺らしたのを、私は見逃さなかった。

「な、何よそれ……!」

サヨちゃんが動揺しながら言う。

「ところで……キズナ。君はやけに汗をかいているようだが、どうしたのかね」
「えっ……!?」

キズナちゃんがもう一度身体をビクつかせた。

「チームデジデジで午前中にライブをしていた君がそんなに汗をかいているのはどういう事かな?」
「こ、これは……その、私汗っかきで……」
「スタッフ達に聞いたが、誰もそんな話はしていなかった。そして何より……楽屋のごみ箱で、こんなものを見つけた」

ナノモン透明な頭部をカプセルのように開け、中から白い布のようなものを取り出した。

「そ、それは……!」
「そう……見ての通り、ブラだ」

今更私が言うことじゃないけど、敢えて言おう。
サイテーだ。

「な……!?」
「ふざけないで!そのブラが事件になんの関係があるって言うのよ!」
「先程、私はこのブラに染みついた汗を舐めることで体液解析を行い、誰の物か、そして発汗した時間帯を計測した。結果、キズナがこのブラを犯行時刻に着けていたことが確定した」

サイテーだ。
サイテーのサイテーだ。

「だからそれが何の……!」
「これはただのブラではない。最近流行りの"バストを小さく見せるブラ"だ」
「!!」
「なぜ大して巨乳でもない君が、この"小さく見せるブラ"を付けなければならなかったのか?理由は明白だ。君は犯行時刻の頃に、自分より貧乳である他人のフリをせねばならなかったからだ。例えばサヨ、君のように」

サヨちゃんは震えて、言葉を詰まらせていた。

「キズナが汗をそんなにかいていたのは、午前・午後と二回続けてライブに出ていたからだ。そしてキズナという影武者を立てたサヨは、自分のステージの時間に犯行を行った……」
「で、でもキズナちゃんがサヨちゃんの代わりにライブをしているなんて、スタッフやファンが気づくんじゃ?」
「他のメンバーならな。だがサヨはこのグループの中で唯一、ドット絵以外の公式イラストが無い。つまりドット絵並のクオリティを再現できれば、誰でも変装できるのだ」
「証拠が無いじゃない!そんなブラがあるくらいで、サヨの身代わりになったことには……!」
「今、私は自分に内蔵したスキャニング機能で君達の三次元データを作成している。キズナのおっぱいにこの小さく見せるブラを装着した時のバストと、サヨの平常時のバストが一致したよ」

やっぱりその機能使ってたのね。
サイテーな上に本物の変態だ。

「サヨ、もし君がアキホを殺してないと言うのならば、ライブ中キズナと入れ替わってまで何をしていたのだね?」
「ち、違いますナノモンさん。サヨは……」
「もういいわキズナ。私のことは庇わなくても」

サヨちゃんは瞳から涙を流し始めた。

「ナノモン、あなたの言う通りよ、私がアキホを殺した……」
「認めたようだな」
「なんで、サヨちゃんがアキホちゃんを……!」
「昨年の総選挙の後、アキホに言われたの」

"あーつれーわー、リデジのヒロインやるのつれーわー。しかも来年3DSで完全版出る事になっちゃったからマジつれーわー。サヨみたいにデジスト程度にしときゃ良かったわー、ついでに胸ももっとぺったんこなら良かったわー、カーッ!"

「あの時、私は決めたわ……アキホを殺して、次の総選挙で一位になることを……!」
「だが、君はそのおっぱいのせいで犯罪が露呈した」

どうしようもない変態がサヨちゃんに歩み寄った。

「貧乳は決して欠点などではない、ステータスだ。なのに君は自分より大きなおっぱいに殺意を抱いてしまった。ファンとして残念だよ。もっと貧乳に誇りを抱いていれば、こんな事件は起きなかった」
「ナノモン……うぅ……」

良い話っぽい雰囲気に見えるけど、どう見てもセクハラだ。
あとナノモンの身体から西部●察か名探偵コ●ンっぽいBGM流すのもやめてほしい。

ベルゼブモン刑事が、手錠を取り出した。

「サヨ、君を署まで連行する」

サヨちゃんはその場に泣き崩れた。





事件が終わり、工場に帰っても、私の心は晴れなかった。

「サヨちゃん……ゲームの主役とおっぱいだけで、あんなに殺意を抱いてしまうなんて……」
「ニンゲンとは不思議なものだよ。私の手にはもう負えないのかもしれない」

巨大な機械をいじっていたナノモンは、喋りながら私に振り返った。

「さてサヤコ、君のためにプレゼントを用意した」
「え、プレゼント?」
「このゲートだよ」

巨大な機械が起動し、中心部に付いた扉が突然開いた。
その先は、細かいデータの粉が光り輝き、煌めいていた。

「え……」
「しがない町工場でゲートを造るのは大変だった。これが君に出来る私の精一杯の仕事だ」
「まさか、ナノモン……」

ライブの後の会話を思い出す。
はじまりの街に行って、新しいパートナーを探せば良かった、って……。

「サヤコ、私は君にとって満足のいくパートナーではなかったかもしれん。機械仕掛けのしがないデジモンだ。君は私に大切なことを教えてくれた。ニンゲンは大きな可能性を持っている。まだまだ進化できる。それを君から教わったよ」
「ナノモン、そんな……」
「このゲートを潜り、新たな世界へ向かってくれ。それが被験者としての最後の仕事だ。そして、大いなる冒険の始まりだ」

何故かは分からない。
けれど、私の目に、何か熱いものがこみ上げてきていた。

「……馬鹿っ……!」

私はきびすを返し、ゲートへ向かって走り出した。
こんな別れを、あの変態デジモンが用意してくれるなんて……!
ゲートが更に輝き、光が私の身体を包んでいく。

私はそこではじめて振り返った。
変態パートナーが、私に向かって必死に手を伸ばしていた。
普段、感情が一切こもらないはずの変態の声が、何故か高ぶっているように聞こえる。

「サヤコ、しっかり生きてくれ!」

涙を抑え、精一杯笑い返した。
そして叫んだ。

「ナノモン、ありがとう!あなたのことは忘れない!私、はじまりの街で、必ず新しいパートナーを見つけて、また帰ってくる!!」

彼に見えるように、思いっきり手を振った。
私の、最高の、変態パートナー。


nanomon4.jpg(184666 byte)


の、ナノモンが言った。

「はじまりの街?そのゲートの転送先は木星の衛星軌道上だぞ」



えっ。











ごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお



「っっきゃああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」




杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー
  杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー
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   ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏



「ぅぅっぎょえええあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ運命なのよ



「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああ!!」




デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。デジワー2 is GOD GAME...。



「おおぉぉぅえええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」




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「おうえっうぇえええええええええええええええええぅぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」




















朝がやってきましたの。
すがすがしい朝ですの。

今日も研究室に入るのは私が一番乗り。
あら、「一番乗り」って表現はおかしかったかしら、だってこの工場にいるのは二人だけ……。

「シラコ。今日も早いな」
「おはようございますですの、ナノモン」
「ん、時に君は何を描いているのだね?」
「イラストですの。今度こそはpixivのR-18ランキングで一位になりたくて……」
「なるほど。で、今君が描いているそのニンゲンは誰だね?」
「彩弥子お姉さまですの!」
「サヤコ……?一体誰だね、それは」
「あ……そう言えば……私も誰なのか、分からないですの……」
「そうか……私にも全く分からない。だがどこかで見たのか、不思議と聞き覚えがあるんだ……まるで、懐かしいような……」

白衣を着て階段を降りてきたナノモンは、私のイラストを見て笑った。

「とても美しいな。パートナーにこんなニンゲンを持てたら、きっと充実した毎日を送れるだろう」

研究室がだんだん明るくなってきた。
私とナノモンは、目を細めながら、窓の外を見ましたの。
太陽が、とても暖かく、私達を照らしているんですの。





21世紀末。
人類はとうに宇宙に進出し、残りわずかな地球上の資源を求め、国家同士の争いを続けていた。いくつもの国家が互いの領土を主張し、戦争と紛争を繰り返した。やがて人類は究極かつ完璧な兵器を求める。地上に住む人々は皆、自分たちの未来がそう長くないことを予感していた。
今、地球の周りにはいくつもの核保有国が打ち上げた軍事人工衛星が軌道上に乗っていた。それらは常に地上を監視し、標的を見定めている。核戦争はすぐそこまで迫っていた。

突然、いくつもの軍事人工衛星が爆発し、宇宙の塵となった。各国はそれぞれの敵国による攻撃かと考えたが、それは違った。別の何者かが、人工衛星を破壊したのである。

監視レーダーに映ったのは、X抗体のようなエネルギーを纏った、貧乳の少女だったと言う。






容疑者X抗体の献身
(完)









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