時空を超えた戦い - Evo.13
Opening Part2:The Blue Dragon






巨大な広間。
様々な機械が置かれ、青い整然とした部屋を見れば、研究施設とも、壮大な城の一室とも見える。
しかし部屋は薄暗く、不気味な光景でもあった。

広間の上座の椅子に座るのは、あの「影」。
その両脇、そして広間の壁側に、何体ものスカルサタモンが並ぶ。
そして部屋の中央に、七体のデジモンが立っていた。

「…諸君、いよいよ我々の計画は本格的な段階へ入った」

影がその場にいる全てのデジモンに告げる。

「我々の理想とする力、そして世界が手に入るのも目前だ」
「「「…」」」

それぞれのデジモンの表情が、闇の中で浮かぶ。
ある者は笑みを浮かべ、ある者は無表情を保つ。

「だが…唯一とも言える問題がある。『余興』のお陰で浮き彫りとなった事実だが…なぁ、デスモンよ」

「影」が七体のデジモンのうちの一体──前日、別次元のリアルワールドへと侵攻したデジモンへ声をかけた。
コードネームではなく、名前で。

「…」

デスモンは黙っていた。
彼の中では怒りと、敵に対する憎悪の感情が渦巻いていた。
戦いで受けた傷はそれほど大きく無かったが、彼にとって前日の「敗走」は屈辱そのものであった。
デスモンの様子を見て、横に並ぶデジモンたちの表情もそれぞれ変わる。

「単眼の魔王も大したことが無いな…すっかり腕が鈍ってしまったのではないか。グハハハ…」

中央にいた、デスモンよりもさらに巨大なデジモンが高笑いする。
全身が兵器の塊とも言える、見るだけで相手に威圧感を与える姿。

『アンナシゴトモマンゾクニデキナイナンテ、ワラッチャウヨネ』

電子音のような『声』。
デスモンの隣に立つ、異形のデジモンが呟いていた。

黒色の、機械化したデジモンとほぼ同じ大きさの巨体を持つ、竜型のデジモンもデスモンを見る。

「…デスモン…」
「…言い訳などという醜い真似をする気は無い。だが、貴様らにこの任務に関する指図を受ける筋合いも在るまい」
「グハハハハ…N-4様はご機嫌斜めのご様子だな」
「それ以上この場で相応しくない発言をするでない、『N-1』」

「影」が彼らの私語を止めた。

「各々、この場にいる全員が既に聞いているだろう。我らの動きを妨害する不穏分子たちがデスモンと交戦した…デジモンと、そしてニンゲンだ…不安要素は排除せねばなるまい。今後、その輩が姿を現した時は、叩き潰すが良い」
「「「御意」」」

その場にいたデジモンたち全てが、声を返した。



「ここから先が、我々の次空間だ」

全体的に黒っぽい色のワイヤーフレームで作られた空間が、ゲンナイの指差した地点から白いフレームの空間に変わっていた。

「…何だか、割りとあっさりしてるんだね」

啓人が呟く。
『次空間の移動』と言う大層なものだから、とても苦労するものなのではないか…と想像していたのだが、まるで「ここが県境です」などと案内されたみたいだ。

「もっと複雑な移動手段だと思ってました…時空間の移動って、こんなに簡単な物なんですか?」
「いや、普段はこうは行かない。技術陣の力の賜物だよ」

ゲンナイが言う。

「…技術?」
「つい最近、時空間を繋げるための特殊なゲートが開発された。『ディメンジョン・ホール』と命名されたがね…時空間に人工的なゲートを開き、空間内を移動できる。私がこちらの世界に移動できたのもこれのお陰だ」

子供たちが「へぇ〜」と頷く。
…一同の約三分の二は理解しきれていないのは言うまでもない。

「ただ、莫大なエネルギーとコストが掛かるのが難点でね。長い時間接続し続けることはできない」
「…もし、移動中に接続が切れたらどうなるんですか?」
「…さぁね。考えたくもないが、恐らく二度と元の世界には返れないだろう」

あっさりと言うが、その言葉はとてつもなく恐ろしい意味を含んでいた。
思わず悪寒が指す啓人。
しかしゲンナイはその様子に特に気づいた訳でもなく。

「さぁ、懐かしの世界へ帰ってきた…」

ピロロロロロ…

突然、ゲンナイの懐から電子音が聞こえた。

「電話っすか、ゲンナイさん?」
「通信が来たね…」

と、ゲンナイは懐から機械を取り出した。
…長方形の薄い機械に、「1〜9」までのボタンと、一行分しかない液晶画面。

「「「(ポ、ポケベルだ〜!しかも数字しか打てないやつ!)」」」
「『4649』…どういう意味だ?」
「「「(しかも理解できてない!)」」」

…冗談はこのくらいにして、改めてゲンナイは携帯電話を取り出した。
尤も、この携帯電話も何処と無く古そうな雰囲気があったが。

「…もしもし」
『もしもし!親父!俺だよ俺!』
「「「(今度は詐欺だ〜!)」」」
「誰だ?…あぁ、ヒサシか」
『そうだよ、ヒサシだよ!実はバイクで事故っちゃって…』
「「「(教えちゃダメだって!それ詐欺だから!!)」」」
「…私にそんな息子はいない!!」

ピッ。

「「「(一方的にノッておいて電話切った〜!)」」」
「…ふぅ。こちらの世界の子供たちも集合したようだ。盗聴されても大丈夫だしね」
「「「(今の暗号だったんだ…)」」」

ゲンナイが携帯をしまうと、ゲートの壁に突然、白い扉が現れた。
入り口に「STAFF ONLY」と書かれている。

「すまないが、私は先に調査団と合流するよ。少し現場を離れすぎたようだ…通路は分かってるね」
「…た、多分〜…」

大輔のディーターミナルには、既に周囲の地図がダウンロードされており、ゲンナイが別行動を取ることになっても問題は無いように配慮されていた。
…正直、自分たちだけで行けるかどうか、自信が無いが…。
ゲンナイは真面目な表情に戻ると語った。

「…彼らの動きが、私がいない間にもますます不穏になってきたようだ…。もしかしたら、襲撃があるかも知れない。君たちの力なら問題は無いと思うが、もし何かあったら…」
「大丈夫ですよ!な〜んにも問題なく、直ぐに合流しますから」
「君がそう言うなら安心だな」

そう言うと、白い扉のドアノブに手をかけ、

「合流後に、出来るだけ早く連絡するよ」
「わかりました」
「…この戦いで、犠牲が出ないことを祈るよ。これ以上…」

最後の方は半ば独り言のようにも聞こえた。
扉が開き、ゲンナイが白い空間へ入る。
ドアは閉じられると、直ぐに消滅した。

「…さて、行きますか〜!」
「なんでヒロカズが仕切ってるんだよ!」
「ぴぴ〜っ!」
「俺だって活躍したいんだよッ!」
「あ〜大丈夫、これからは俺とブイモンだけで万事解決させるから」
「「「それだけはありえないっ!」」」

冗談交じりの会話をしながら、マイペースに進む子供たち。

彼らの足元で動く、不穏な『尾』の動きにはまだ、誰一人として気づいていない。



「本宮がこちらに向かってます」

賢が、集まった選ばれし子供たち全員に向かって言った。

「そーか、じゃ、戻ってきたらボコらないとな」
「いや、吊るして鼻から熱湯飲んでもらおうか」
「何だか話がズレてますよ、太一さん、ヤマトさん…」

光子郎が呆れ顔で太一たちを窘め、賢が話を進めた。

「たった今、ゲートを通過したらしくて…もうすぐ合流できそうです」
「そーか…じゃ、磔にして一刺ししてやらんと…」
「(話が進まない…)じゃあ、僕たちも移動の準備をしましょうか」

各々が立ち上がり、ようやく進展した行方不明事件に喜ぶ。
賢は立ち上がり、ワームモンを肩に乗せた。
そして、ゲートを見る。
笑みを浮かべる気分よりも、不安が募る一方なのは、彼と、もう一人。

「…本宮…」
「…こっちに来るまでに、追っ手が来ないといいんだけどね…」

賢の隣に立った空が、呟くように賢に言った。
が、賢がまだ懸念の表情を浮かべているのを見兼ねて、明るく言葉をかけた。

「…大丈夫よ、彼らなら。それに、今度は『助っ人』も付いてるって言うし」
「…そうですよね。あのバカなら問題ない」
「ケンちゃんは心配性なんだから〜。大丈夫、大丈夫」

常に自分のことを気にかけてくれるパートナーも、明るく言った。

「…そうだね、ワームモン。さ、僕たちも行こうか」



襲撃は突然だった。

「うぉああっ!?」

突如、地面から出現した巨大な黄褐色の槍のようなものが、デジモンたちを襲う。
「槍」と言っても一直線のものではなく、蛇腹状のものであり、出現したと思った次の瞬間には、ギルモンめがけて襲い掛かってきたのだ。
瞬時に気づいたギルモンは回避したものの、通路の床に深く突き刺さった鋭利な先端の刃が、その恐ろしさを物語っていた。

「こ、こりゃあ一体…」
"あちゃ〜、ハズしたかぁ〜。やっぱ当てずっぽうじゃダメだなぁ〜…"
「な…何だ?」

大輔が慌てふためきながら呟いたが、間もなく地面からの「槍」、そして声の正体が明らかとなった。
ボコッ、という音と共に、「槍」が出現した通路の床からデジモンが現れた。
奇妙な黄褐色の甲羅を纏い、何本もある足や背に刃。
目の上には黒い第二の瞳。
更に口元に巨大な二本の触覚があり、あの「槍」は彼の尾であった。

「…アノマロカリモンか…!」
「まぁエエかぁ〜。おまぃら、デスモン様と戦ったガキだなぁ〜。オラが直接仕留めてやるから光栄に思え〜」
「(うわ、方言まるだし…)」

相手の言葉遣いに唖然としている場合ではない。
まさかこれほど早く敵の襲撃に出くわすとは。

驚く間もなく、今度は壁が打撃音と共に崩れ落ち、筋骨隆々の、青白い色をした鬼のようなデジモンが現れた。
片手には巨大な、氷柱のような棍棒。
オーガモンとは似て非なる、青鬼。

「オラぁジィさんよぉ!何ハズしてんだコラぁ!なまらムカつくべやー!!」

出現したデジモンがアノマロカリモンに向かって怒鳴る。

「じゃかぁしいー!生ラー油カツ丼って何じゃー若造!」
「「「(生ラー油カツ丼??)」」」

なまらムカつく、生らーむカツ、生ラー油カツ…。
いや、どう考えても変だろう、この聞き間違い。
どうなってるんだ、あのデジモンの耳?

青い鬼人、ヒョーガモンはペロリと唇を舐め、氷柱の棍棒を右手で叩きながら子供たちに向き直った。

「げへへ…ジィさんには任せておけねべやー。クソガキャー、かかって来いやぁ。このヒョーガモンが相手してやるべー!」
「ち…バカにすんのも程々にしろよな」
「全くだよね」

大輔とブイモンが前に出た。

「げぇっへっへ。まずはお前らか…なまら面白くなってきたべやぁ!おいジィさん、後ろのヤツらはアンタが殺っちまえやー」
「白のカツラ?何失礼なことブッこいてんだー。オラはハゲてねぇだー!」
「『後ろのヤツら』つってんだろジィさん!ホンッとになまらムカつくべやぁ!」
「「「(何だかなぁ…)」」」

唖然となる子供たち。
どっちもどっち、である。

「…レナモン。さっさと仕留めて」
「うわ…今日の留姫、いつにも増して好戦的だな…」

前の戦い以来と言うか、最近の留姫は不機嫌さ三割増くらいになっている。
だが、率直な感想を呟いた啓人をキッ、と睨むと。

「さっさとアンタもギルモンに指示出しなさい!目標三分!!」
「わ、分かったよ…って三分!?」

無理やりながらも啓人とギルモンも前に出る。
…その様子を傍観する健良たちに大輔は。

「…おい、健良たちは出なくていいのか?一応、相手は完全体だぜ」
「もーまんたい」
「大丈夫だよ、あの二人が出れば十分。それに…」

健良はブイモンと、対峙するヒョーガモンを見て続けて言った。

「君たちがどのくらい強いのかも見ておきたいしね」
「…そうか」

割とあっさりしている。
じゃ、こっちもアイツらの実力、拝見させてもらいましょうか。


「何処見てんだクソガキ!行くべやー!」

大輔が振り向くと、ブイモンに向かって大きく振りかぶるヒョーガモンが居た。
棍棒を振り下ろすが、あっさりと回避されて空を切る。

ブイモンはたんっ、と足を床に着けると。

「…遅いね」
「な、何だとチビィ!マジでなまらムカつくべやー!」

ブイモンの挑発にあっさり乗ってしまったヒョーガモンは憤慨して再び突撃してきた。
その瞬間を逃さず、大輔が叫ぶ。

「行くぜ、ブイモンッ!」
「おうっ、任せとけ!」


ブイモン進化!

ブイモンに新たなデータが書き込まれる。
体が大人の人間並みの大きさになると共に、翼や角、そして胸にX型の紋章が新たに刻まれる。

エクスブイモン!!


ドガッ!!
確かな感触。
ヒョーガモンは自らの棍棒の一撃が敵に直撃した事を確信し、ニヤリと笑ったのだが、直ぐに驚きの表情へと変わる。

「だから、遅いんだって」

余裕の表情を見せる、青い竜。
振り下ろした棍棒を、右手だけで抑えている…!

「な…そんなことあり得ねーべや…!?」

しかも、自分が普段、楽々と振り回しているはずの棍棒が、エクスブイモンに握られているだけで全く動かない。
エクスブイモンがギロリ、と一瞬鋭い眼光を向ける。

「ひ…」

驚きと焦りのあまり、一瞬、握る力を緩めてしまった。

「…ぁぁぁあああ!!」

エクスブイモンが叫ぶと、頑丈なはずの氷柱の棍棒が、握力のみで簡単に破壊された。
粉々になり、目の前で落下する棍棒。

「…う、嘘ぉ!?」

驚いている暇も無かった。
次の瞬間には、蒼竜の尾の一撃が彼を吹き飛ばす。

「ぐおおっ!?」

反対側の壁に叩きつけられるヒョーガモン。
エクスブイモンは手についた氷の破片をパン、パンと掃うと、ヒョーガモンに言った。

「そんな立派な体があるんだからさ、武器なんか使わずに素手で戦おうよ」
「…ぐ…」

同じ成熟期なのに、この力の差。
一体、何だと言うのだ、あのデジモンは…。



「ぐっそー!なんで当たらないだー!?」

周囲に何度も響く、斬撃の音。
アノマロカリモンの必殺技が放つ音なのだが、一度たりとも目の前にいる二体のデジモンには命中しない。

「そんなワンパターンじゃ当たるわけ無いでしょ…キュウビモン!」

留姫の声に反応し、高く飛び上がるキュウビモン。
顔面蒼白になり、慌てふためくアノマロカリモン。

「来るなぁー!このッ…テイルブレード!!」
「…!」

尾がキュウビモンめがけて飛ぶが、直撃する前にアノマロカリモンの体を青い炎が包む。

「どわっちっちっちぃぃぃ!」

炎が消え去ると、再び忌々しい九尾の狐が現れる。

「く…なんでオラがぁ…成熟期二体なんかにぃ…!」
「自信を折らせてもらって悪いけど、私たち時間ないから!」
「グラウモン、あの刃には気をつけて!」
「うん、タカト!」

グラウモンも突撃を仕掛ける。
その後ろにはキュウビモン。

「エビなんだかカニなんだか知らないけど、終わらせるわよ!」
「オラはヤギでもダニでもねぇー!オラは三葉虫だー!」
「(ヤギともダニとも言ってないじゃん…)行けっ、グラウモン!」
「あっ、違った!オラは『あのまろかりす』だぁー!…てへっ♪」
「なんで自分のモデル忘れてんのよ!?っていうか今『てへっ♪』って…キャラ違ッ!」

…ツッコミを入れていますが、一応突進中です。

「ぐ、ぐそぉー!スティンガーサプライズ!!」

アノマロカリモンが両手をクロスさせると、斬撃の衝撃波が二体めがけて飛んでいくが、やはり二体には命中しない。
それどころか大振りのお陰で、懐に二体が突撃するのを許してしまった。

「あ…」

グラウモンが両腕の刃を光らせ、叫ぶ。

「プラズマブレイドッ!!」

目にも止まらぬ速さで斬りつける。
アノマロカリモン自身も何が起こったか分からないうちに、左の触覚が落下した。

「な、なあぁぁぁ!?オラのちゃーむぽいんとがぁ!?」
「これにて終幕──」

そう言って、グラウモンの背中を駆け上がり、先程以上に高く跳ぶキュウビモン。



「…へぇ、アイツら、やるじゃん」

大輔が横目でグラウモンとキュウビモンの戦いを見ながら思わず感心する。

「…俺たちも負けてられねぇなぁ…」

のん気に呟くが、そんな彼のパートナーも終始優位に戦闘を進めていた。
武器を失ったヒョーガモンは肉弾戦をエクスブイモンに挑んだが、自信のある格闘攻撃も、蒼竜に劣っていることを知った。
両者は両手を組み合い、全身の力を腕に集中している。

「ぁぁぁあああッ!!」
「ぬ…ぬがあぁぁ!!」

激しい音と共に、弾き飛ばされるヒョーガモン。
彼の体が宙を舞い、落下していくが、床へと叩きつけられる前にエクスブイモンが再び彼に突撃した。
思い切り腕を振り上げるエクスブイモン。

「これで終わりッ!」



「なぁぁっ!?オラの頭に乗るでねぇぇっ!」

キュウビモンが、伸び上がっていたアノマロカリモンの頭部に着地した。

「失礼──」
「やっ、やめ…」
「孤炎龍!!」

次の瞬間、アノマロカリモンの全身が青い炎に包まれた。
やがて、ゆっくりと炎が消えてキュウビモンが着地する。
と同時に、アノマロカリモンが倒れた。

「…敵とは言え老体。少々ご無礼を致した──」
「…て、てきーらとハイウェイでろーそん…?そーそーごぶれっとこぼした…?何言ってんだオメェ…」

結局、最後まで聞き間違いをしながらアノマロカリモンは消滅した。

「(い、いいのかな、あんな終わり方で…)」



「な…このクソチビィィ…!」
「今は大して身長変わんないじゃん!」

強烈なパンチがヒョーガモンの腹部に直撃する。

「がはっ…」

地面に沈み、消滅するヒョーガモン。
対してエクスブイモンが、ゆっくりと着地した。

「…勝ちぃ!」

退化しながら、ブイモンが大輔に言う。

「よっしゃー!よくやった、ブイモンッ!!」
「ヘヘッ、こんなの朝飯前〜!」

ブイモンが大輔に思いっきり飛び乗りはしゃいだ。

「いだだだっ、ブイモン、はしゃぎ過ぎだっつーの!」
「やるね、大輔〜、ブイモン〜!」
「さっすがだね〜!」
「おう、見たか俺の勇士」

博和と健太がヨイショするお陰で天狗になる大輔。

「中々やるじゃない、アンタ」
「あそこまで強いなんて思わなかったよ!」
「ほんと〜、ギルモンびっくりー!」
「なっはっは、もっと俺を崇めろ!」

大輔の鼻が何処と無く、ぐんぐん伸びている気がした。

「…言い過ぎたかな…(小声)」
「啓人クンも頑張ってたよ〜、すごい強くなったんだね!」
「え…ま、まぁね…(照れ)」

それぞれの勝利に沸く子供たちとデジモン。



その一方で、新たな影が、デジタル空間のフロアを移動していた。
彼が移動する最中、彼が片手に持つ通信機からスカルサタモンの声が漏れる。

「──不穏分子はヒョーガモンとアノマロカリモンを撃破したようです」
「ふ〜ん…。まぁイイや、場所は掴めてるんだよね?」
「当然です」
「…じゃ、通信切るね。遊ばせてもらうよ〜」
「お気をつけて、『N-7』様」

通信が切れる。
新たな影が、確実に一行に近づいていた。








INDEX 
inserted by FC2 system